資本主義的世界観の中での空虚さから始まる思考の旅。
資本主義的な価値観による美やデザインは私達を終わりのない欲望のループに誘うように作られています。
カラフルなガラス瓶は視覚的な美であったり、資本主義的な欲望を象徴しています。
美のポジティブなパワーとネガティブなパワーがテーマです。
鏡の配置されている作品ではガラス瓶の数は少ないですが、鏡に映ることで色々な物があるように見えます。
鏡が象徴しているのは、多角的な視点による解釈を可能にする、オルタナティブな価値観です。
概念による世界の拡張が精神の充足をもたらすと考えています。
『色彩との対話と色彩相対性理論』
シャルダン、モランディ、マーク・ロスコといった過去の巨匠達に共通するのは絵画の全ての要素が独自の哲学によって満たされていることです。
2018年は私の独自の色彩論である「色彩相対性理論」を確立する為に費やした年でした。
これらのミニマリスティックな色彩による霧の中にいるようなトーンの作品達はその過程で生まれました。
『箱庭療法による内的世界の表現 Ⅱ』
虚無感の中での葛藤。
どこでも買えるような変哲もないガラス瓶は、効率化された社会の不自由さを象徴しています。
効率化、均一化された社会でのアイデンティティの模索。
『箱庭療法による内的世界の表現』
おもちゃを並べることで間接的な表現を行うという手法は、20世紀スイスのユング派心理学者「ドラ・カルフ」が考案した「箱庭療法」から着想を得ています。
内的な世界や言語化が難しい複雑な概念を象徴的に表現する手段として用いています。
現代的な価値観やライフスタイルは生活を便利にしましたが、同時に無機質にし過ぎたと考えています。
私が蝋燭の光を好んで用いているのは、電気の光にはない原始性を求めたからです。
私の考案した「絵画の解体と概念による再構築」は 絵画を哲学、モチーフ、コンポジション、色彩、技法、サイズなどといった要素に一度分解し、各々の要素一つ一つに丁寧に独自の解釈を加えることで再構築するという方法です。
2014年に発表した蝋燭の光による絵画の1stシリーズは、17世紀フランスの画家「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール」が描いていた蝋燭の光による宗教画をイメージソースとして、「絵画の解体と概念による再構築」によって生まれました。