2021

"REBUILDING IDENTITY"

REAL EXHIBITION

Art Fair "One Art Taipei 2021"  GUAN ZHI TANG ADMIRA GALLERY

January 16-17, 2021  The Sharwood Taipei,Taipei,Taiwan   https://www.onearttaipeien.com

Statement

『Building Identity Ⅵ   "REBUILDING IDENTITY"』

 

世界中で生活の大きな変化が起きたことで、 多くの人に価値観の揺らぎがあったのではないかと考えています。 不確実な状況の中で精神の平穏を得る方法について考えた結果、今回の展覧会では「アイデンティティの再構築」がテーマになっています。

 

世界が揺らいでも揺らがない自己を形成することは理想論に過ぎないかもしれませんが、再び多くの人が精神の平穏を取り戻せる日が来ることを願っています。

 

a.  458×533mmサイズと2つの223×275mmサイズによる3つの絵画はアートワークの根源的哲学となっている3つの価値観「自然回帰主義」「実存主義」「ミニマリズム」をそれぞれ象徴しています。

中村圭吾 KEIGO NAKAMURA "Primitive Light(2 Nudists Visited My Room)" 458×533mm Oil Painting On Linen Canvas
"Primitive Light(2 Nudists Visited My Room)" 458×533mm Oil Painting On Linen Canvas
中村圭吾 KEIGO NAKAMURA "Sharing A Cake" 223×275mm Oil Painting On Linen Canvas
"Sharing A Cake" 223×275mm Oil Painting On Linen Canvas
中村圭吾 KEIGO NAKAMURA"Minimalist's Painting" 223×275mm Oil Painting On Linen Canvas
"Minimalist's Painting" 223×275mm Oil Painting On Linen Canvas

 

”Primitive Light(2 Nudists Visited My Room)” 458×533mm

 

箱庭療法では砂が用いられるように、心理療法では「自然的なものに触れることから精神との対話が始まる」とされています。

私の制作では蝋燭の炎による熱を持った原始的な光がその役目を担っています。

 

 

この作品は「自然回帰主義」から着想を得ており、原始的、自然的な力を表現しています。

 

モチーフの古代ギリシャの「スペドス型女性像」とアンティークの壊れたビスクドールはこの絵画の中ではヌーディストの役を演じており、野性的な力と開放感を表しています。

 

伸びやかで自然的な筆致で描く為にこの絵画は大きめのサイズになっています。

 

”Minimalist’s Painting” 223×275mm

 

「多すぎる情報や刺激の強いエンターテイメントは我々を本当に幸福にするのでしょうか?」

そういった疑問から、私は「ミニマリスト」といって、生活に関する物を最小限しか持たないライフスタイルをしています。

ぬいぐるみと箱、最小限の要素の対比が私にとって最も心地よい状態です。

 

”Sharing A Cake” 223×275mm

 

ケーキは経済的豊かさではなく、分配しても失われない精神的な豊かさを象徴しています。

愛情や友情や共感によって精神的な豊かさを分け合うことについての作品です。

同時にケーキを経済的富の象徴とした場合、それを独占せずに分けるという行為によって、資本主義的価値観に囚われない自由な精神という意味も含みます。

"9 Paintings About Rebuilding Identity"

b. 約6×8cmのミニサイズ9つの絵画は連作になっています。各々の絵画はアイデンティティを巡る対話や思考をテーマとしており、全体を通してレゾンデートル(存在理由)の再構築までの内的な旅を表現しています。

中村圭吾 KEIGO NAKAMURA 1 "Talking About Our Difference" 60×85mm
1 "Talking About Our Difference" 60×85mm
中村圭吾 KEIGO NAKAMURA2 "Sharing A Cake Ⅰ" 60×85mm
2 "Sharing A Cake Ⅰ" 60×85mm
中村圭吾 KEIGO NAKAMURA3 "Sharing A Cake Ⅱ" 60×85mm
3 "Sharing A Cake Ⅱ" 60×85mm

中村圭吾 KEIGO NAKAMURA4 "Thinking About Religion" 60×85mm
4 "Thinking About Religion" 60×85mm
中村圭吾 KEIGO NAKAMURA5 "Thinking About Death" 60×85mm
5 "Thinking About Death" 60×85mm
中村圭吾 KEIGO NAKAMURA6 "Thinking About My Life And Death" 60×85mm
6 "Thinking About My Life And Death" 60×85mm

中村圭吾 KEIGO NAKAMURA7 "Really Tired" 60×85mm
7 "Really Tired" 60×85mm
中村圭吾 KEIGO NAKAMURA8 "Past And Now" 60×85mm
8 "Past And Now" 60×85mm
中村圭吾 KEIGO NAKAMURA9 "Meaning Of Life" 60×85mm
9 "Meaning Of Life" 60×85mm

1”Talking About Our Difference”

 

対話による相互理解がテーマとなっています。

種族間の違いと近い者同士の違いという2重の意味を含んでいます。

 

2”Sharing A Cake Ⅰ” 3”Sharing A Cake Ⅱ”

 

ケーキは経済的豊かさではなく、分配しても失われない精神的な豊かさを象徴しています。

愛情や友情や共感によって精神的な豊かさを分け合うことについての作品です。

同時にケーキを経済的富の象徴とした場合、それを独占せずに分けるという行為によって、資本主義的価値観に囚われない自由な精神という意味も含みます。 

 

4”Thinking About Religion”

 

強い象徴で意図しているテーマを隠すという手法を好んで使っています。

 

表層と本質という解釈によるレイヤーを生み出すことであったり、我々の生活の裏側にあるイデオロギーや支配的な構造を示唆する目的があります。

 

ぬいぐるみとサンタクロースが描かれたこの絵画は、クリスマスが商業的イベントと化している現代ではクリスマスのイラストにしか見えませんが、

キリスト教の象徴として使われており、しばしば私達を対立させる神や宗教、それすら包括する資本主義的構造がテーマです。

 

5”Thinking About Death” 6”Thinking About My Life And Death” 

 

ぬいぐるみとカボチャ、ケーキが描かれた絵画は、ハロウィンパーティーを意味している様に見えますが、カボチャはぬいぐるみの頭とちょうど同じ大きさをしており、頭蓋骨のメタファーとして使われています。生と死に関することがテーマです。

 

この対になる2作品の中で「死という概念について考える」から「死という概念を通して有意義な生き方について考える」という変化を表しています。

 

7”Really Tired”

 

置かれた帽子はユング心理学でのペルソナ(自己の外的側面)を象徴しています。

ぬいぐるみはペルソナを脱いで休憩しています。

ペルソナ(自己の外的側面)とシャドウ(自己の本心)についての作品です。

 

8”Past And Now”

 

この絵画では右側に置かれている古代ギリシャの「スペドス型女性像」は現在から4000年前のものです。

過去と現在というテーマは誕生から現在という人間的時間軸と古代から現代という自然的時間軸の2つの意味を表しています。

時間軸を通して存在について考えています。

 

9”Meaning Of Life”

 

連作の最後となるこの作品では、ぬいぐるみが一人でケーキと向き合っており、新しいレゾンデートル(存在理由)の誕生がテーマです。

 

世界の変化によって自ずと生まれる、アイデンティティに関する問いはニヒリズム(虚無感)に至ることもありますが、虚無感は通過点に過ぎません。

最終的に希望を見つけることを示しています。